1人当たりの粗利益、営業目標の出し方【会社経営・人件費】
よく経営者の方から「従業員1人あたりの粗利益の目標はどれくらいに設定すればいいのでしょうか?」という質問を受けることがあります。
企業が成長を続けるためには、適切な目標を設定することが大切です。
そこで今回は、
- 1人あたりの粗利益の計算方法
- 1人あたりの粗利益の目標額
- 営業1人あたりの必要売上の算出方法
について、事例を交えながら、解説していきます。
動画でも解説しているので、参考にして下さい。
「粗利益」と社員1人あたりの粗利益
まずは、「粗利益」についてです。
粗利益(粗利)は売上から仕入額を差し引いた額のことです。
売上−仕入額=粗利益(売上総利益)
粗利益は正確には「売上総利益」とも言います。
この粗利益から経費や人件費を差し引いて残ったものが、会社の利益になります。
1人あたりの粗利益の計算と人件費の目安
粗利益の1年間の合計を社員数で割ることで、1人あたりの粗利益の金額が算出されます。
1年間の粗利益÷社員数=1人あたりの粗利益
また、1人当たりの人件費の目安は、1人あたりの粗利益の1/2〜1/3が目安と言われています。
例えば、1人あたりの粗利益が1,000万円の場合、
- 1/2…500万円
- 1/3…約330万円
が人件費になります。
会社としては、人件費を粗利益の1/3程度に抑えても、十分な金額を支払える(会社にも利益が残る)ことが、理想的な状態と言えます。
業種によっても異なりますが、大まかな目安です。
1人あたりの粗利益の目標額は1,000万円〜
では、1人あたりの粗利益の目標額はどれくらいに設定すればいいのでしょうか?
私は、最低目標は「1,000万円」にするといいと考えています。
中小企業の中には、1,000万円に到達していない企業もたくさんありますが、まずはここを目指しましょう。その後、1,500万円、2,000万円とステップアップを目指します。
仮に、粗利益の1/2を人件費に充てるとすると、
- 粗利益1,000万円…500万円
- 粗利益1,500万円…750万円
- 粗利益2,000万円…1,000万円
これだけの人件費を支払うことができます。
1人あたりの粗利益が2,000万円ともなれば、十分な人件費を払えた上で、会社にも利益が残り「儲かっている状態」です。
目標を達成するための営業1人あたりの必要売上
1人あたりの粗利益1,000万円を達成するために、営業1人がどれだけの売上を上げる必要がるのでしょうか。
以下のような企業を例に試算してみます。
- 従業員10人、うち5人が営業人員
- 粗利益率が20%の商品を扱う(売上100万円で、粗利益は20万円)
- 平均年収は500万円、社会保険等を含めて600万円
まず、粗利益の1/2を人件費として支払うとすると、1人あたりの人件費600万円の2倍、1,200万円の粗利益が必要になります。
従業員は10人いるので、合計1億2,000万円の粗利益を営業5人で上げていくことになります。
1億2,000万円÷5人=2,400万円(粗利益)
営業1人が2,400万円の粗利益を稼ぐためには、
2,400万円÷20%(粗利益率)=1億2,000万円(売上)
今回の例だと、営業1人あたり1億2,000万円、全体で6億円の売上が必要になります。
このように人件費から逆算していくことで、売上目標を計算することができます。
1人あたり人件費×(2倍〜3倍)=1人あたりに必要な粗利益
→ 1人あたりに必要な粗利益×従業員数=必要な全体の粗利益
→ 必要な全体の粗利益÷営業人員数=営業1人に必要な粗利益
→ 営業1人に必要な粗利益÷粗利益率=営業1人に必要な売上高
ぜひ、上記の試算方法をご参考に、適切な売上の目標を設定してみてください。