簿記が仕事に役立つ理由/社会人に必須【簿記検定】
「簿記」と聞くとどんなことを想像しますか?
「商業系の学生が取る資格」というイメージが強いかもしれませんね。簿記は時代、業界を越えて役に立つスキルとして、今でもなお重宝されています。
一方で「仕事がAIなどに置き換わっていく中でも、簿記ってこれからも必要なの?」と思われるかもしれません。
結論、私は簿記の知識はこれからもずっと役に立つものだと確信しています。
今回は簿記が気になっている人や何か資格を取りたいと思っている人、そしてすべての社会人のみなさんに向けて、
を解説していきます。
動画でも解説しています。
簿記ってこの先も使われるの?
冒頭でもお伝えしましたが、私は簿記はこれからの時代も必須のスキルとして使われ続けていくと考えています。
「将来、経理はAIやロボットに代替される」と言われることがあります。確かに数字を入力したり整理するといった作業的な部分は自動化が進み、生産性は今よりも随分と高まるでしょう。
しかし、どんなに効率化が進んだとしても簿記の仕組みそのものが変わるわけではありません。複式簿記の基本的な考え方や、簿記によって作成される財務データの読み方などは、今後も必要なスキルとして求められ続けるはずです。
など、時代の変化とともに変わっていくものもありますが、 簿記の知識そのものが不要になることはありません。
複式簿記の歴史
歴史については諸説ありますが、その内のひとつを紹介します。
今の簿記のルーツは600年ほど前(14世紀頃)のイタリアにあると言われています。
当時の商人は航海に出て商売をするのに、投資家から出資を受けていました。そして、1回の航海が終わるごとに、儲けた利益を投資家に分配するのが習慣になっていました。
ここで正確に計算をするために簿記の考え方が生まれたと言われています。その基本的な原理は、今の複式簿記にもほとんど変わらずに残っているようです。
簿記を勉強するメリットは?
簿記を学ぶメリットには、以下のようなことが挙げられます。
- 就職に有利(2つの面で)
- どんな仕事でも活かすことができる
- 株式投資(資産運用)で活かせる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
就職に有利(2つの面で)
「簿記」と聞いて資格をイメージする人も多いでしょう。簿記検定を取得することで、履歴書に書いてアピールできます。
また、就職活動をする際に受験する企業の研究を行うと思いますが、簿記の知識があれば決算短信などの資料から会社の業績を読み解くことができるようになります。
会社の規模感を把握したり、同業他社との比較をすることで、将来有望な企業を選ぶことができますし、面接の場でも「なぜこの企業を志望するのか」を、根拠を元に説明してアピールできます。
どんな仕事でも活かせる
あなたがどんな職業に就こうとも、簿記の知識は必ず活かすことができます。
世の中の企業は売上、仕入、経費などの記録は簿記を活用します。企業の活動は簿記によって成り立っていると言っても過言ではありません。企業に勤めるなら、どんな業務に携わることになっても簿記の知識は活かせます。
また、個人で起業や独立をする際にも簿記の知識が役に立ちます。個人事業の場合、収入・経費などをすべて自分で記録して行く必要があります。
また、お金の流れや損益を把握できることで、自信を持ってビジネスを展開できます。
株式投資(資産運用)で活かせる
資産は自分で増やす時代です。NISAやiDeCoなどの個人の資産運用を促進する制度も整備されています。危機感を覚えて、最近、株式投資を始めた人も多いかもしれませんね。
上場している企業であれば、決算短信や決算説明資料が公開されています。簿記の知識があればこれらの資料から企業の状態を把握することができ、投資するに相応しい企業なのか判断できるようになります。
逆に簿記の知識がない状態で投資を行うことは、非常に危険です。投資をするなら最低限の財務データを読める知識は持ち合わせておきたいところです。
簿記を勉強した方がいい人は?
簿記のメリットをお伝えしましたが、それでも「自分には関係ない」と思われている方もいるのでは。ここでずばり、簿記を勉強した方がいい人はどんな人なのか、お伝えします。
経理をする人
経理業務に就きたい人はもちろん簿記の知識が必要です。あとで説明する資格の取得が有効です。
経理職に就くには実務経験を求められることも多いです。しかし、先にも説明したとおり、世の中のすべての企業は、簿記によって経済活動を行っています。それだけ経理職の求人もたくさんあります。
経営者、フリーランス(個人事業者)、営業職
経営者は自分の会社の業績を把握するには、財務諸表がが読めなくてはいけません。フリーランスなどの個人事業者に経理の知識が必要なのは先にも説明した通り。
またサラリーマンで例えば営業職であっても、経費や利益の計算に簿記が役立ちますし、日々、経営者目線で判断して業務をおこなっていくためにも、重要なスキルになります。
すべての人が簿記を学ぶべき
繰り返しになりますが、世の中のすべての会社が簿記を利用して、自社の経営状況を表す財務データを作成します。
社会のしくみを理解するためには簿記は切っても切り離せません。
どんなかたちで働くにしろ(働かなくとも、消費も含めた経済活動をする限り)、すべての人が簿記の知識を活かせる場面があります。
私は簿記は義務教育に入れるべきとすら考えています。それくらい、大切で汎用的な知識なのです。
簿記はどこまで勉強すればいいのか?
それでも、何から学んだらいいのか分からないと思うかも知れません。簿記は資格試験を通して勉強するのがおすすめです。
- 日商簿記…日本商工会議所と全国各地の商工会議所が主催。1〜3級・簿記初級・原価計算初級の5種類
- 全経簿記…全国経理教育協会が主催。上級・1〜3級・基礎簿記会計の5種類
- 全商簿記…全国商業高等学校協会が主催。主に商業高校の学生を対象とした試験で1〜3級がある
まずは日商簿記3級。より知識を深めたいなら2級まで
この中で最もおすすめしたいのが、「日商簿記」です。毎回、多くの社会人も受験しています。
まずは3級の取得を目指して勉強しましょう。3級であれば1ヶ月程度勉強すれば、十分合格できます。
正直なところ、3級はパターン問題が多く、要領がいい人は簡単に合格できてしまうかもしれません。より実践的な知識を深めたい人は2級まで学習するといいでしょう。3〜6ヶ月の学習が合格の目安です。
その道に進むなら1級まで
公認会計士や税理士など、「その道で食べていきたい人」が受験するのが日商簿記1級です。主催する商工会議所は「極めて高度な会計スキル」と定義しています。ただ、税理士の科目でも簿記論というものがあるので、1級を受けずに税理士試験等に進む人も多いです。
会計基準や会社法、財務諸表などの会計に関する法律を踏まえて、経営管理や分析ができるレベルが求められます。
難易度も高いので、特に必要性がなければ、2級までの学習で基礎はできるので、あとは実務的な作業や決算短信を読むなど、実践に進むことが大事です。
まとめ
簿記はすべての企業で使われます。
経理だけでなく、経営者をはじめ、個人事業者や営業系の職種まで、すべての人が取得して損はない知識です。
目安としては2級まで学習するのが良いでしょう。あとは実践を通して理解を深めて行かれることをおすすめします。