パートで扶養に入れる103万円の壁は本当にお得?
パートやアルバイトで働いている人などで、
収入を103万円までに抑えたいといったことや、
限度までいったから年末までは働かないといった
ような事を聞いたことはないでしょうか?
よくあるパターンとしては、
お父さんが会社員でお母さんがパートをしている場合です。
このときにお母さんの収入を103万円までに抑えるというのが
よくあります。
この『103万円の壁』
一度は聞いた事がある人も多いのではないでしょうか?
これは本当にお得なんでしょうか?
『103万円の壁』に抑えるとどうなるの?
この『103万円の壁』ですが、
なぜ103万円なのでしょうか?
これにはもちろん理由があります。
具体的には次の2つの理由からです。
①お母さんの所得税が0になる
まず、年間の給料収入を103万円までに抑える事で、
お母さん自身の所得税が0になります。
算式としては、
給与収入103万円ー給与所得控除65万円ー基礎控除38万円
=0円(税金を計算する対象の金額)
この算式で103万円までは結果的に0円以下になるので、
所得税が不要となります。
② 扶養に入ることでお父さんの所得税が安くなる。
また、
お母さんの収入を103万円以下に抑える事で、
お父さんの扶養に入ることが出来るので、
お父さんの所得税が少なくなります。
具体的には配偶者控除という事で、
お父さんの所得から38万円を差し引く事が出来ます。
38万円×税率分が少なくなるイメージです。
(税率は所得によって違うので、所得税・住民税合わせて
15%~50%くらいです)
『103万円の壁』は本当に有利?
この『103万円の壁』、上の理由を見ると
お得なような感じもしますが、本当にそうなのでしょうか?
① 稼ぐチャンスを逃している。
103万円までに抑えるという事は、
それ以上には働かないということです。
これでは、それ以上に働くチャンスや新しい仕事に取り組む
チャンスを逃していることになります。
収入的に150万円・200万円と稼げるチャンスがあるのと同時に、
正社員への登用や新しい仕事など、次のステージへのステップのチャンスを
逃しやすくなってしまいます。
②世帯全体で考えてどうなるのか?
重要なのは、税金の負担が増えるかどうか?
ということより、
世帯全体の手取り額が増えるかどうか
という事じゃないでしょうか?
お父さん・お母さんの両方の収入・税金がどうなるか?
という事が重要です。
例えば、Aパターンとして、
お父さんの年収500万円
お母さんの年収103万円の場合、
所得税・住民税含めてお父さんの税金は約287,000円
お母さんは約10,000円(住民税がかかります)で、
Aパターンは世帯合計で約297,000円の納税額です。
これに対し、Bパターンは、
お父さんの年収500万円
お母さんの年収128万円の場合。
所得税・住民税含めてお父さんの税金は約326,000円
お母さんは約 45,200円で
Bパターンは世帯合計で約371,200円の納税額です。
AとBを比較すると、
Bは世帯収入が25万円増えることに対して
納税額も74,200円増えます。
差し引くと、
Bパターンの場合、
世帯全体としては175,800円の収入アップです。
『103万円の壁』は気にする必要はない
上の比較を見ても分かるように、103万円を超えたからといって
世帯全体の収入が減るわけではなく、増えるんです。
なので、103万円の壁を気にする必要はないという事がいえます。
ただ、注意点としては、
お母さんの収入が103万円までというのを条件に、
お父さんの会社で扶養手当として別途給料が増える場合です。
この場合には、少し計算が違ってきますので注意が必要です。
ただ、
収入制限がある扶養手当というのは少ないかと思いますが・・
※ 数年前までは103万円までがもう少し優遇されていた形
でしたが、税制が変わり103万円の壁はほぼなくなりました。
『103万円の壁』ではなく『130万円の壁』
① 『130万円の壁』の対象者は?
103万円の壁は、気にする必要はないのですが、
130万円の壁というのは存在します。
この壁は、サラリーマンの夫の妻の人に関係します。
自営業者の場合は関係しません。
サラリーマンの夫が会社で社会保険に入っている場合、
妻は社会保険の扶養の範囲であれば、
妻の分の保険料がかからずに加入できます。
※社会保険の扶養は、給料の収入が130万円未満が要件です。
※所得税の扶養の範囲とは異なります。
②130万円以上になるとどうなるの?
サラリーマンの妻の人がこの130万円の壁を超えると、
今まではご主人の社会保険に入れていたものが、
社会保険の扶養を外れて、自分で加入する必要がでてきます。
こうなると、130~150万円くらいの収入であれば、
130万円までに抑えた方が総手取り額が多くなると
いう事になってしまいます。
130万円を超える場合は、170万円以上くらい稼いだ方が
ベターだといえます。
ただ、
自分のスキルや会社での立場の向上やチャンスを逃さないために
そういった制限をせずに働くというのが一番良いですね。
『103万円の壁』と『130万円の壁』のまとめ
① 『103万円の壁』は気にする必要がない。
② サラリーマンの妻の人は『130万円の壁』に注意
③とはいっても制限なしで働く事でチャンスを逃さない!
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