年商1億円って儲かってるの?本当は・・・
年商1億円と聞くと、とても儲かっていそうな良いイメージがあります。
しかし実際はどうなのか、見ていきましょう。
動画での解説はこちらからとなります。
年商とは
年商とは1年間の売上金額の合計額のことをいいます。
売上金額なので、年商だけを見て儲かっているかを判断することはできません。
企業が儲かっているかどうかは利益の部分をみて判断します。
利益は売上(年商)から仕入額や経費を差し引いた金額のことを言います。
売上(年商)ー 仕入 ー 経費=利益
仕入額には商品の原価や材料費などが含まれます。
経費には人件費や家賃、消耗品といったその他の費用が含まれます。
年商1億円の業種による違い
同じ年商1億円でも粗利益は業種によって大きく変わってきます。
粗利益とは売上から仕入額を差し引いた金額です。損益計算書では売上総利益と呼びます。
粗利益=売上(年商)ー 仕入
業種による粗利益の違い(例)
業種 | 売上(年商) | 仕入 | 粗利益 | 粗利率 |
---|---|---|---|---|
卸売業 | 1億円 | 9,000万円 | 1,000万円 | 10% |
建設業 | 1億円 | 7,000万円 | 3,000万円 | 30% |
飲食業 | 1億円 | 3,000万円 | 7,000万円 | 70% |
サービス業 | 1億円 | 0円 | 1億円 | 100% |
一般的に卸売業は利益率が10%〜15%残ります。
売上の規模は増えますが、粗利益はそこまで高くありません。
建設業の粗利益は約30%、飲食業では約70%、
サービス業は仕入がないので、売上がそのまま粗利益になります。
同じ年商1億円でも業種によってこれだけ粗利益が変わってきます。
利益率は材料費などの仕入に対して、どれだけ付加価値を付けられたかで変わってきます。
卸売業の場合は商品に手を加えず、そのまま流通させるので、粗利益率は低いです。
飲食業の場合は仕入れた材料を加工して、料理として価値を高めて提供するので利益率は高くなります。
サービス業は仕入れがなく、目に見えないサービスを一から作り出しているので、粗利益率が高くなります。
年商100億円でも儲かっているとは限らない
例えば売上100億円、仕入30億円、経費80億円の企業があるとします。
売上100億円ー仕入30億円ー経費80億円=ー10億円の赤字
売上が100億円あったとしても、仕入で30億円、人件費などの経費で80億円かかっていた場合、10億円の赤字になってしまいます。
売上が100億円あるということは凄いことですが、
それだけでは「儲かっている」「黒字になっている」とは言えません。
年商からはその会社の売上規模が分かりますが、それで儲かっているかどうかの判断はできません。
利益率を上げるには、売上を上げるか、仕入または経費を下げる必要があります。
売上を上げるには価格を上げる、値引きをやめる、などがあります。
仕入を下げるには仕入原価の引き下げ交渉などが考えられます。
経費を下げるには人件費や消耗品費などを減らすことが考えられます。
「儲ける」には売上、仕入、経費のバランスを意識する必要があります。
例えば、仕入れが少ないサービス業の粗利益が高いことは先に説明しましたが、サービス業の企業がすべて儲かっているわけではありません。
売上を稼ぐために人件費などの経費がかかったら、その分利益は減ってしまいます。
まとめ
・年商だけでは儲かっているかどうかはわかりません。
実際の利益がどうなのか?ということが重要です。
・業種によって売上から仕入を差し引いた粗利益は全く異なってきます。
粗利益が重要なので、売上だけでは規模感は図れません。
・年商と業種が分かれば、ある程度の企業の規模感が分かることになります。